“愛琉歌ウェヌ?”
ああ、もちろん知っているよ。
全然掴めない男だ。
奴のほとんどが謎さ。何を考えているんだか・・。
彼の双子の兄が海賊船の船長なんだ。
僕も見た事があるが、やけに顔の整った奴だ。
最初は女かと思ったよ。
あと、少し不思議な香りがしたような・・。
おっと、すまない、話が少し逸れたな。
弟の方の話だったか?
そうだな、彼にとっての“好意”とは、彼の中で境界が無い。
ごっちゃ混ぜで、一つしか無いのさ。
それと、奴の武器の扱いは一級品だ。
いつも何処かにナイフを持ち歩いてるみたいだな。
彼のナイフの味と言ったら、忘れられないね。
あの真っ青なコートを真っ赤に染め上げるまで、
その太刀筋に迷い無く、確実に・・捌く。
あの眼は、まるで別人のようだった。
“彼”に近付いたが最期、
天国にも地獄にも行けず、奴の呪いに苦しみ続ける事になるぞ。
――僕のようにね。
あとはそうだね、
彼は、地獄耳なんだ(笑)